著者
細野 恵子 堀岡 恒子 久光 雅美 井垣 通人
雑誌
臨床体温
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.8-13, 2010-08

雑誌掲載版下腹部への長時間の温罨法による、便秘症状の強い高齢入院患者の便通改善の有効性を検討した。寝たきりの高齢患者(平均年齢85±10歳)23名(男性4名、女性19名)を対象に、下腹部への温罨法施行前後の便通状態とバイタルサインの変化を測定した。温罨法には蒸気温熱シート(めぐりズム蒸気温熱パワー、花王)を使用し、1日平均6.7時間を7日間連続貼用した。便通状態の評価には『日本語版便秘評価尺度(CAS-ST版)』4項目と『ブリストル便形スケール』を使用し、温罨法施行前ならびに施行中7日間での排便状態を計測した。また、下剤使用量を比較した。温罨法の施行により、便通状態尺度の有意な改善、7日間の排便回数の有意増加が示された。下腹部への長時間加温による便秘症状の有意な改善効果が確認され、貼付部位・循環器系への悪影響がないことから、高齢入院患者での有効性と安全性が示唆された。