著者
乳原孝
出版者
京都学園大学
雑誌
京都学園大学経営学部論集 (ISSN:0916734X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.1-30, 2012-03

近世以降に多数設立されるワークハウスという施設は,イギリスの貧民政策にとって極めて重要な制度であった。だが,そうした施設の活動実態等についての具体的研究は,これまであまり試みられてこなかったと言える。本稿では,ロンドンのセント・アンドルー・アンダーシャフト教区のワークハウスに関して,その『委員会議事録』を史料として,設立当初の活動と1834年の救貧法改正後の動きについての個別研究を試みている。特に,ワークハウスの設立目的とされる院外救済の制限が実際に実現されていたかどうかに着目して,設立当初と100年後の状況を比較検証している。