著者
二宮 照子
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.139-143, 1975-05-25 (Released:2010-10-29)
参考文献数
5

熊本市内で販売されている氷菓類および清涼飲料水104種類について着色料の分析および果汁を含む清涼飲料水については Vitamin C含有量, 糖度, 有機酸の定量をあわせて実施した。氷菓類の色調は, Videt, Orange, Red, Yellow, Green, Brown その他無着色に分けられ, 各色素の使用頻度の高いものから示すと, Tartrazine, Sunset Yellow, Amaranth, Brilliant Blue などが各色調の殆どに混合使用されており, 1試料当りの色素数は1種類で着色されたものから6種類使用のものもあって, 各メーカーの自由な選択が行なわれている。しかし単染色と混合染色との間に外観上の差は殆どなかったことからも, 着色に要する色素数は可能な限り少なくあるべきではないかと考えられる。清涼飲料水の着色料は, 市販されている着色試料の種類が少ないためにその傾向をみ出すことはできなかったが, 1試料当りの色素数は氷菓類で検出された数の範囲内にあった。Vitamin C含有量は柑橘類のみを対象とすると, 天然果汁には100ml当り平均36.4mg含まれ, 果汁飲料および果汁入り清涼飲料 (果汁含有率10%以上50%未満のもの) には, 天然果汁に対するパーセントで示すと, 44.8%, 33.2%, 15.7%, 9.9%と減少していた。また, Vitamin C 36.4mgを得るためのこれらの換算価格も示したが, 天然果汁は着色料も含まず, しかも最も安いとい5結果を得た。平均糖度は, 氷菓類15.4%, 清涼飲料水は12.3%で, 総酸量は天然果汁の0.93%から無果汁飲料の0.11%と差が大きく果汁含有率によって変動していた。また調査の結果では, 不許可の着色料は検出されなかった。