著者
二見 朝子 野口 麻衣子 山本 則子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.261-269, 2019 (Released:2020-02-15)
参考文献数
27
被引用文献数
2

目的:看護師が利用する科学的根拠の利用頻度およびクリティカルシンキング(CT)との関連を明らかにする.方法:病院の病棟師長および看護師を対象に自記式質問紙調査を実施した.組織特性,個人特性,CT,情報源の利用頻度等を尋ねた.情報源のうち,ガイドライン・論文データベースを科学的根拠と分類した.結果:全国61病院の師長68名,看護師986名分の回答を分析対象とした(有効回答率:師長93.2%,看護師72.1%).ガイドラインは58.4%,論文データベースは32.8%が1年以内に1度以上利用していた.CTは,ガイドライン(オッズ比[OR]:1.97,95%信頼医区間[CI]:1.30~2.99)および論文データベース(OR: 2.47, 95%CI: 1.58~3.85)の利用共に有意に関連していた.その他の要因としてガイドラインの利用には学会参加回数が多いこと,論文データベースには一般病床,統計解析の院内研修がある,年齢が低い,臨床研究実施回数が多い,学会参加回数が多いことが有意に関連した.結論:CTの高さは,科学的根拠の利用促進に寄与しうる要因であることが示唆された.