著者
五十嵐 政成 亀田 知人 吉岡 敏明
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第20回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.132, 2009 (Released:2009-09-25)

水素発酵では高基質濃度条件において副産物として水素生成が伴わずに乳酸が多量に生成される.そこで本研究では,乳酸を基質とした水素生成反応の最適条件を求めることで,高基質濃度での水素発酵における水素生成効率の向上を目的として,乳酸を出発原料とした水素発酵について生成効率の向上を目的にpHの影響を検討した.種菌源として東北大学青葉山キャンパス内の土を,基質として乳酸ナトリウムと酢酸ナトリウムを用いた.水素生成量は,初期pHを6として菌体を培養した後にpHを5とした実験で最大となり,乳酸200 mmolから120 mmol生成された.水素生成はプロトン濃度の大きい低pH条件で有利であったが,pH 5未満では生成されなかった.これは乳酸の分解によって生成した有機酸が低pH条件では非解離型として存在し,それらが菌体内に侵入し菌体の活動を阻害したためと考えられる.また,既往の乳酸分解反応に比べ水素生成効率の高い反応の存在を示唆した.