著者
五十田 智丈 溝部 裕司 桑田 繁樹 干鯛 眞信
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.9, pp.493-500, 2001 (Released:2004-02-20)
参考文献数
68
被引用文献数
1

モリブデンおよびタングステンのスルフィド架橋二核錯体[M2S2(μ2–S)2(S2CNEt2)2] (M = Mo,W)と各種貴金属錯体とを反応させることにより,[M′(μ2–S)2M2(μ2–S)2] (M = Mo : M′ = Pt; M = W : M′ = Pd, Pt),[M′(μ3–S)(μ2–S)3M2] (M = Mo, W : M′ = Rh, Ir),および[M′2M2(μ3–S)4] (M = Mo : M′ = Pd; M = Mo, W : M′ = Rh, Ir)骨格を有する一連の三核およびキュバン型四核混合金属クラスターを,それぞれ選択的に合成できることを見いだした.これらの反応においてどの骨格構造が生成するかは,用いる金属の組み合わせ,または導入する金属錯体上の配位子の種類に大きく依存することが判明した.一連の新規なクラスターの構造については,[Pt(PPh3)(μ2–S)2{W(S2CNEt2)}2(μ2–S)2],[{Pd(PPh3)}2{Mo(S2CNEt2)}2(μ3–S)4], [Ir(PPh3)2(μ3–S)(μ2–S)3{W(S2CNEt2)}2(μ2–Cl)],[{Rh(cod)}2{MoCl(S2CNEt2)}2(μ3–S)4] (cod = 1,5-cyclooctadiene),および[(RuCp*)2{MoCl(S2CNEt2)}2(μ3–S)4](Cp* = η5–C5Me5)の単結晶X線解析を行って確認した.