著者
秋田 倫幸 有吉 佑 岡田 一郎 五明 良仁 池野 龍雄 宮本 英雄
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.1264-1269, 2018 (Released:2018-12-31)
参考文献数
18
被引用文献数
2

症例は80歳,男性.便秘と腹部膨満感を主訴に当院へ救急搬送となった.腹部は軽度膨満,明らかな腹膜刺激症状は認めなかった.腹部CTで直腸からS状結腸に便塊とその近位側大腸の拡張と液体貯留を認めた.採血結果では炎症反応上昇,脱水,代謝性アシドーシスの呼吸性代償を認めた.下腹部痛増悪,呼吸苦出現,意識混濁出現したため,腸壊死もしくは腸穿孔に至ったと判断し緊急手術を施行した.開腹し腹腔内を観察したところ,便臭のある褐色腹水を認めた.結腸・回腸に菲薄化した腸管を認め,特に下部大腸の腸管粘膜は黒く,壊死像が菲薄化した腸管から透見できた.結腸全摘術を施行した.回腸断端で単孔式人工肛門を造設した.術後は心房粗動に対し除細動,エンドトキシン吸着カラムなど治療を行い,救命することができた.宿便性腸閉塞は透析患者や糖尿病を有する患者に発症しやすいが,手術に至る例は比較的少ない.文献的考察ともに報告する.