著者
五月女 宜裕
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.402-405, 2015-08-20 (Released:2017-06-16)

光学分割とは,2つのエナンチオマー(鏡像異性体)が1:1の比で混在するラセミ体から,一方のエナンチオマーを分離する方法である。19世紀中旬に,ルイ・パスツール(Louis Pasteur)が初めての光学分割を報告して以来,結晶法,HPLC法,速度論法に代表される様々な光学分割法が開発されてきた。これにより,医薬,農薬,香料や機能性材料の開発に欠かすことのできないキラル化合物のエナンチオマーを入手することが可能となった。本稿では,これらの光学分割法の歴史的な開発背景,光学分割法の原理,さらには特徴についても紹介する。