- 著者
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井上 主税
- 出版者
- 奈良県立橿原考古学研究所
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2014-04-01
本研究では、朝鮮半島初期鉄器時代~三国時代の鉄・鉄器生産遺跡出土の倭系遺物について検討した。その結果、紀元前2~1世紀には、倭人たちが東南部地域で鉄器生産に関与していた痕跡が認められた。一方、紀元後3~4世紀には東南部地域の鉄・鉄器生産遺跡で、5世紀以降は西南部地域の鉄・鉄器生産遺跡で倭系遺物が出土しているものの、遺構には直接伴っておらず、出土量からみても倭人たちの活動痕跡は限定的なものであった。そのため、現時点では多量の鉄器が副葬された古墳時代の様相から想定される、鉄素材をめぐる朝鮮半島との関連性とは必ずしも一致しない面が認められる。