著者
井上 明芳
出版者
國學院大學
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

森敦文学について、代表作「われ逝くもののごとく」を中心に自筆資料を翻刻し、生成過程を明るみにした。同時に、本作品の舞台である山形県庄内地方の現地調査を行い、現地というリアリティから小説作品としてのフィクションを見出した。その際、現地の風習や方言などもあわせて調査し、作品の註釈とした。これにより、「われ逝くもののごとく」を庄内地方の文化資源として位置づけることができるとともに、本作品の読解を地理的に、註釈的に行うことを可能にしている。また、作品舞台の地図を描くこともできたが、それは単に文学マップを作るのではなく、森敦の文学理論「意味の変容」に基づくことであり、森敦文学の理論的構築を示し得た。