- 著者
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荒木 陽一
村上 健二
井上 昭司
- 出版者
- 農林水産省中国農業試験場
- 雑誌
- 中国農業試験場研究報告 (ISSN:09134239)
- 巻号頁・発行日
- no.21, pp.41-58, 2000-12
湿害防止に有効な遮根シートを含め,各種資材を活用した圃場条件下における湿害防止技術について,根系の異なるスイートコーン,ホウレンソウならびにシュンギクを供試して検討した.また,湛水処理が根の酸素消費量に及ぼす影響を検討した. 1.スイートコーンの場合,栽培期間中の降雨とそれによる地下水位上昇の影響は高畝,ポリマルチならびに雨よけハウスのいずれによっても同程度に軽減された.遮根シートの敷設は土壌の乾燥を助長し,生育,収量の低下をもたらした. 2.ホウレンソウでは,雨よけハウスが最も効果的で,次いで遮根シート>ポリマルチ>高畝の順であった.遮根シートの敷設は露地の場合有効であったが,雨よけハウスでは土壌の乾燥による生育の抑制を引き起こした. 3.シュンギクはホウレンソウと同様の反応を示した. 4.根の酸素消費量からみると,湛水処理による影響はホウレンソウが最も大きく,次いでシュンギク,スイートコーンの順であった. 5.湛水処理による1株当たりの根の酸素消費量の減少は根量の減少によるもので,いわゆる根の呼吸活性(単位乾物当たりの酸素消費量)の低下によるものではなかった.