著者
井上 貴嗣 稲田 智久 田川 善彦
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-10, 2006
参考文献数
6
被引用文献数
2

車いすは元々下肢の障害や高齢による下肢の筋力低下によって歩行が困難な方の移動手段であり,下肢を駆動力とすることは考えられていなかった.一般的な上肢駆動の車いすでは,下肢は全く使用されず,肩の障害や下肢の筋力低下や関節の拘縮の原因となっている.一方,下肢駆動車いすは駆動時に下肢を動かすため,下肢の筋力低下や関節の拘縮などの予防や抑制を日常生活において行うことができる.しかしながら,下肢駆動車いすにも下肢に十分な筋力がなければ自力走行が困難であるという問題がある.そこで,我々は足漕ぎ車いす搭乗者の下肢に機能的電気刺激を印加すること,およびモータによるアシストをうことで問題の改善を試みる.本研究ではファジィ制御を用いた運動制御システムを構築し,健常人男性1名を被験者として屋外平坦路上で実験を行い,漕ぎ始めから滑らかなペダリング動作を実現した.