- 著者
-
井岡 正宣
- 出版者
- 滋賀大学
- 雑誌
- 奨励研究
- 巻号頁・発行日
- 2008
特別な支援を必要とする子どもたちに対して、どのような支援を行えば意欲的に毛筆書写を行えば良いかを研究の目的とした。Y市で特別支援教育の必要な子どもを対象にした書道教室を年間9回開催した。毛筆書写は3年生からであるが、技術的なことを身につけることよりも楽しく書くことを目標にして1年生からも対象にして募集したところ、15名が集まった。1・2年生の初めて筆を持つ子どもたちは、慣れるまでに時間が掛かった。そこで、手順が分からない子どもに対しては写真カードで手順を示した。さらに、今日の学習活動がすぐに分かるように学習の流れを模造紙に示し視覚支援を行った。写真カードや模造紙を使うと、次第に見通しを持つことができ自ら活動できるようになった。題材は、字形にとらわれないように象形文字を中心とした。9・10月には全紙1/2の大きな紙にダイナミックに書くことに挑戦した。ほとんどの子どもたちは初めての体験で驚いていたが、書き上げた後自分の作品を見る顔は、満足感が溢れていた。できあがった作品が大きいと、迫力がありより充実感を得ることができる。作品はY市の文化祭に出品し、保護者の方や地域の方々にも見て頂いた。その後、一人の保護者は父親の経営する会社の事務所に飾り、来客者にも見て頂いてということだった。来客者はその迫力に驚いていると喜んで話しておられた。毎回子どもが書いた作品は、デジタルカメラで縮小し写真を額に入れたり、パネルに加工したりしたりして、机の上や壁に飾れるようにした。形のこだわるよりも子どもたちが、楽しいと感じる題材を選ぶことが大切である。さらに作品を掲示することにより、家族にも見て貰うことができ、次もがんばってみようという意欲につながった。