著者
井部 千夫美
出版者
総務省情報通信政策研究所
雑誌
情報通信政策研究 (ISSN:24336254)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.91-106, 2019-11-29 (Released:2019-12-23)
参考文献数
37

本稿は、米国における、クローズド・キャプション方式の字幕(closed caption)及び画面解説(video description)を主体とする、視聴覚障害者等向け放送の現状と課題について、視聴者層、字幕・画面解説の制作方法、関連制度、最近の字幕・画面解説の付与状況の順に説明し、字幕・画面解説を制作する際に生成されたテキストの活用事例として、盲ろう者への対応とメディア・モニタリング・サービスを取り上げて論じる。そして、わが国への示唆として、字幕付与と画面解説付与の格差による、視覚障害者と聴覚障害者との間における情報アクセシビリティの格差を是正するための対策及び盲ろう者への対応について検討を進める必要があり、わが国でメディア・モニタリング・サービスと同様の新しいビジネスを導入する場合に直面する著作権法上の問題については、米国のような訴訟ではなく、業界団体等による検討などを通じて形成するソフトローのアプローチの方が適切であると結論する。