著者
今 淳 澤村 大輔
出版者
青森県立保健大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

心筋の胎仔創傷治癒機構(FWH)が成獣創傷治癒機構(AWH)へ移行する時に,遺伝子がどう変動するか網羅的に解析した。その結果,多数の変動遺伝子を検出し,特に,Has-2,MMP,fibromodulinの抗線維化に関連する遺伝子は抑制し,I型コラーゲン,アクチン,TGF-betaの線維化に関連する遺伝子,toll-like receptor,シクロオキシゲナーゼ等の免疫に関与する遺伝子は上昇した。次に,抑制した遺伝子を心筋壊死組織に導入したところ,軽度に抗線維化を認めたが,何れも完全なFWHは誘導されなかった。従って,各遺伝子はFWHのマスター遺伝子ではなく,更なる遺伝子の関与が考えられた。