著者
今井 邦英
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.12, pp.801-806, 2001-12-20
被引用文献数
2

2個の動脈瘤が相接して生ずるいわゆるkissing aneurysmsの報告例は稀である.特に同一内頸動脈に発症したものは, 渉猟し得るかぎり14例であった.kissing aneurysmsにおいて手術前の血管撮影では, 確定診断を得ることは必ずしも容易ではなく, 多房性の1個の動脈瘤と誤認する場合がしばしばある.また, いずれの報告においても, 動脈瘤同士の癒着がみられ, その剥離に際し高頻度に術中破裂をきたしている.特に脳血管攣縮を呈している場合, 術中破裂に伴う親血管の遮断は術後の高度な神経脱落症状の原因となり得る.前脈絡叢動脈の温存にも細心の注意を払うべきである.したがって, 自験例の反省も含めて, 慎重な剥離操作と迅速な手技, 術前の的確な血管撮影読影の必要性を指摘し報告した.
著者
今井 邦英
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.9, pp.626-630, 2001-09-20
被引用文献数
3

クモ膜下出血で発症した右後交通動脈瘤の1例を報告した.症例は47歳, 男性で, 突然の頭痛, 意識障害で発症した.来院時のCTにて, クモ膜下出血と診断され, Hunt & Hessの分類ではGrade IVであり, 重篤な不整脈もみられたため, 腰椎ドレナージを留置後, 意図的晩期手術を予定した.その後, 意識レベルは徐々にアップし, 神経学的な改善を認めたものの, 発症後10日目に再出血を起こし, 19日目に死亡した.内頸動脈とは解剖学的関連のない, いわゆる真の後交通動脈瘤は稀であり, 渉猟し得るかぎり, 本例を含め19例であった.一方, 本例のように神経学的に重篤な症例においても, 血管内手術等の非侵襲的な治療を積極的に行ってゆくべきであると考えられた.