著者
高良 秀昭 今塩屋 隼男
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.25-35, 2003-05-30

自己教示が知的障害者のメタ認知に対してどのように影響するかを検討する目的で、実験研究を行った。その結果、メタ認知の実行機能については、実験群(自己教示群)の実行機能が、統制群に比較して有意に高まった。さらに、実験群の実行機能の得点は、コバート・リハーサル段階で有意に高まった。この効果は、実行機能の得点が低いグループで、特に顕著にみられた。一方、メタ認知的知識に関しては、実験群のみに特有な変化は認められなかった。このような点から、自己教示は、知的障害者のメタ認知の実行機能を活性化するが、メタ認知的知識には大きな影響を及ぼさないことが示唆された。さらに、自己教示により活性化された知的障害者のメタ認知、特に実行機能は、1年後においても活性化が維持されることが明らかになった。