著者
今岡 雅史
出版者
松江市立病院
雑誌
松江市立病院医学雑誌 (ISSN:13430866)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.63-66, 2000 (Released:2019-12-25)
参考文献数
4

長年のアルコール依存症の経過中,又は断酒をして後に精神分裂病を合併した5症例を報告した.それらの病歴を「病前性格を軸にして,様々な人間関係の困難さをアルコール依存症で紛らせ,何かの事情で断酒をした後に幻覚・妄想等の分裂病(的防衛)で生きざるを得なかった」とできるだけ了解的に記述した.従来より,アルコール依存が分裂病発症の引き金になる,という考えがあるが,著者は症例を通して逆に「アルコールによって精神分裂病の明確な発病が抑制される可能性がある」と考える