著者
仙頭 照康
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.246-254, 1971 (Released:2007-07-05)
参考文献数
5
被引用文献数
1

ユスラヤシ, シュロチクヤシ, シュロおよびトウジュロについて発芽機構, 最適発芽条件を知るために, 1966~1970年実験を行なつた。1. ユスラヤシ種子の内果皮は薄く, 繊維がある。胚乳は種皮に似た組織が入り込んでいるため均質でない。発芽型は隣接•小舌状である。シュロチクヤシ種子は周囲に深い折目のある5条の縦みぞがあり, 胚乳は均質である。発芽型は隣接•小舌状である。シュロおよびトウジュロ種子にはコルク組織があつて, 胚乳に接している。発芽型は遠距離•管状である。2. 発芽率の最高はユスラヤシ40%, シュロチクヤシ60%前後, シュロおよびトウジュロはいずれも90%前後であつた。3. 適温での発芽日数はもつとも早いものが, ユスラヤシで18日, シュロチクヤシで14日, シュロは30日で, トウジュロはシュロより2~3日長かつた。4. は種用土別の発芽はユスラヤシでは高温でバーミキュライト区, 川砂区がよく, シュロチクヤシでは粘質壌土区がややよかつた。シュロではいずれのは種用土でも大差なかつたが, トウジュロでは粘質壌土区の発芽率が高かつた。5. シュロ種子の生存能力は室温貯蔵で17か月, 冷蔵 (3~5°C) で42か月であつた。