著者
伊原 貞敏
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
機械學會誌
巻号頁・発行日
vol.36, no.196, pp.532-535, 1933

円弧で限られる扇形場内に在る唯一の自由渦の移動が其渦の像渦の有限數の影響として行はれると簡單に考へ等角寫像法に由り平衡渦の中心位置は(θ_0=π/2n, r_0e^<-π/2n>)であり且移動渦の中心軌跡は(A^^*^2+B^^*^2)/(C^^*^2+D^^*^2)=(A^^*_1^2+B^^*_1^2)/(C^^*_1^2+D^^*_1^2)で與へられる事を算出した。但しA^^*=(1+η_0)(η-η_0), B^^*=-(1+η_0)ξ, C^^*=(1-η_0)(η-η_0), D^^*=-(1-η_0)ξ, A^^*_1=(1+η_0)(η_1-η_0), B^^*_1=-(1+η_0)ξ, C^^*=(1-η_0)(η_1-η_0), D^^*=-(1+η_0)ξ_1,ξ=(r^n+r^<-n>)/2・cosnθ, η=(r^n-r^<-n>)/2・sinnθ, θ_n=扇形の夾角=π/n, (ξ_1,η_1)=移動渦の原始座標である。又模型の扇形場に水を滿し回轉円筒で渦を起生させて其移動状態を活動寫眞に撮り且移動跡(實線)を描出し其初期に於ては計算した移動跡(破線)に一致する事を確めた(圖6a, b)。而して移動の中期以後は渦の老衰のため内側に軌跡を反れて歩み最後には平衡渦の位置Q(ξ_0,η_0)に到る事を知った。從て此解法も此場合の説明の一便法たり得る。