著者
伊富貴 初美
出版者
日本赤十字看護学会
雑誌
日本赤十字看護学会誌 (ISSN:13461346)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.64-73, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
10

本研究の目的は日本の地域医療に米国のNurse Practitioner(以下,NPとする)と特定行為研修修了者を導入した場合の診察料シミュレーションを行うこと,また訪問看護師へのインタビューを通じて日本の地域医療の課題とNP導入によって期待される効果を明らかにすることである.病院併設のX訪問看護ステーションを利用している69名の訪問看護記録と受診記録のデータを用いて診察料シミュレーションを行った結果,NP導入により平均して介護保険で29%,医療保険で21%,特定行為研修修了者導入により介護保険で2%,医療保険で5%の削減効果が確認できた.また,同施設に所属する訪問看護師3名に対するインタビューを通じて,医師の指示の範囲でしか対応できないことなど課題を感じており,NPなどの高度実践者の導入により在宅医療におけるコーディネートとして活動するなどの効果が期待されていることが明らかになった.