著者
伊志嶺 朝次 Ishimine Choji
出版者
琉球大学教育学部附属教育実践研究指導センター
雑誌
琉球大学教育学部教育実践研究指導センター紀要 (ISSN:13425951)
巻号頁・発行日
no.1, pp.31-36, 1993-10

本稿は筆者が巻末に示した紀要論文などで展開した音楽療法的見地に基づく音楽教育理念について、教育実践の可能性を示唆したものである。歌唱教材として「こいのぼり」、「ぞうさん」、「とんび」の3曲を、また鑑賞教材として「ピーターと狼」をとりあげた。基本的には表現に対して鑑賞が現在の取扱いよりもつと重視されるべきとする観点から、聴取活動の場面を増やすための工夫を展開した。その観点から「こいのぼり」ではテンポを速めたり遅くしたりして風の吹き具合を連想させ、また同主短調では雨に濡れたこいのぼりとの繋がりをイメージできるだろうとした。「ぞうさん」では主としてピッチ(オクターブ)がものの大きさや重量感と関連する要素であることから、通常の歌唱のほかイメージごっことして高いオクターブでは小さい象のイメージとなり、低いオクターブでは大きい象、あるいはお父さん象などといった授業展開の可能性を示した。