著者
伊東 めぐみ
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 = Annual reports of Shijonawate Gakuen Junior College
巻号頁・発行日
vol.50, pp.74-80, 2017-12-25

2025年(平成37年)は、第一次ベビーブームと呼ばれる1947年~1949年に生まれた「団塊の世代」の人すべてが75歳以上の後期高齢者に達する時期であり、要介護状態の高齢者が急増する時期であると見込まれている。その2025年を目途に、厚生労働省は「地域包括ケアシステム」を構築するべく推進している。本稿では、諸外国における地域包括ケアシステムの事例を紹介・比較し、日本の地域包括ケアシステム構築について考察を行った。その結果、各国に共通している点は、地域住民や、看護・介護の提供者・利用者等の「当事者」からさまざまな議論やプロジェクトが提起され、市民活動の中で組織づくりを行うといったような、下意上達に端を発している点であった。また、地域包括ケアを担う人材確保のために、共通基礎資格の創設に踏み切っている国もみられる。各国の差異を考えなげればならないが、高齢社会における看護・介護サービス需要の急増を支えるという根源的な課題は共通していることから、その動向は我が国に様々な示唆を与えると考えられる。