著者
長谷 秀揮
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 = Annual reports of Shijonawate Gakuen Junior College (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.20-28, 2013

本稿の目的は、大韓民国(以下、韓国と略記)の保育、なかでも首都ソウル特別市の保育の現状について、2012年9月に実際に現地の保育施設及び子育て関連施設を見学して学ぶことができた多くのことについてまとめ、文献や資料等を活用しながら整理し、また考察を加えて現状を把握、理解して、今後の課題を探ることに資することである。具体的には、現地の保育施設及び子育て関連諸施設を見学させて頂いた際に、施設長や職員の方々から受けた説明や質疑等のやりとりの中で得た様々な学びや情報、そして実際の施設の設備や様子、また保育園児をはじめとする子どもたちや保護者の様子や、さらに現地の保育士への聞き取りから得た情報等を、参考文献や資料等を参照し確認しながら、また必要な補足をして整理しまとめることである。そして日本における保育及び子育てとの比較、検討についても考慮しながら韓国の保育の現状について考察し課題を探ることである。(Hereinafter referred to as Korea) Korea nursery, The purpose of this paper is that the current state of child care capital Seoul, learn to observe the local childcare facilities and child care facilities in September 2012 among them actually it is to contribute to the understanding that the present situation in addition to discussion, to understand and explore the challenges of the future for many things that could be put together, and also organize the literature and other materials while taking advantage of. When I was allowed to tour the various facilities associated with child-rearing and child care facilities local Specifically, fact, information, and learning it is a variety obtained in the exchange of such questions and explanations and has received from the people and staff chief facility and the appearance of the children and parents, including the nursery school children, as well as making sure to reference materials, etc. and references, and information obtained from interviews with nursery local also, how equipment and facilities it is put together and organize the necessary supplement also. It is to explore the issues discussed, taking into account the current state of child care in Korea compared with childcare and parenting in Japan, and also study.
著者
北村 瑞穂 Mizuho Kitamura
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 = Annual reports of Shijonawate Gakuen Junior College
巻号頁・発行日
vol.45, pp.30-38, 2012

本研究では、親切行動を心がけさせる介入と、親切にされたことへの感謝の表明を心がけさせる介入をそれぞれ実施し、1ヶ月後に親切行動への動機づけや親切行動の生起や主観的幸福感の高まりが見られるかを比較検討した。実験協力者は女子短期大学生82名(感謝群18名、親切群35名、統制群29名)であった。介入の結果、感謝群の親切行動への動機づけが高まった。さらに親切群の親切行動を実行する人数が増えた。また、介入直後の嬉しかった・感謝した経験が介入群は統制群より高いため、これらの介入が親切行動への動機づけやポジティブな感情の認知につながる可能性が示唆された。しかし主観的幸福感については感謝行動と親切行動の介入の効果は確認できなかった。
著者
村井 隆之 Takayuki Murai
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 = Annual reports of Shijonawate Gakuen Junior College (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.1-18, 2007

千島列島と北方四島がソ連軍に不法に占領され、日本人島民一万七千余人の身に危険が迫った。根室町長安藤石典は連合国軍最高司令官に「陳情書」を出しソ連軍に代わってアメリカ軍の島への進駐を要請するが、陳情は功を奏さなかった。だが、彼が「陳情書」で展開した理論は、後に「四島一括返還論」という形を整え、鳩山内閣が妥協的に選択した二島返還論と交差しながら返還運動をリードしていく。ソ連邦崩壊後、社会主義経済から市場経済への移行につまずいた一時期、ロシア人の日本を見る目が少し変わり、四島返還が実現するかに思える瞬間があったが、日本はこの絶好の好機を逸した。プーチン大統領も最初の頃は四島返還論に一定程度理解を示したが、現在はこの問題にすっかり冷淡になっている。原油急騰で経済に余裕が出たことが彼をそうさせている。拙稿では戦後60年間の領土問題をめぐる動きを多角的に分析し、併せて将来を展望する。
著者
三木 大史 河野 俊寛 Hirofumi Miki Toshihiro Kono 四條畷学園短期大学ライフデザイン総合学科 東京大学先端科学技術研究センター Shijonawate Gakuen Junior College Research Center for Advanced Science and Technology
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 = Annual reports of Shijonawate Gakuen Junior College
巻号頁・発行日
vol.47, pp.26-30, 2014

言語の発達に遅れがない自閉症者と定型発達者の間でコミュニケーションが成り立つ場合と成り立たない場合の違いについて、その論理の違いを説明するため、数理論理学の手法を用いた数理モデルを提示する。自閉症者と定型発達者の間のコミュニケーションの実例を挙げて、双方の論理を構築した数理モデルの枠組みで具体的に説明する。コミュニケーションが成り立つ場合と成り立たない場合が起こるのは、双方の論理から導かれる理論の相違によるものであり、それは状況と言語の間の関係から生じるものである。このことを利用することによって、両者のコミュニケーション成立のための具体的な方法を説明でき、またその新たな方法を考えることができることを明らかにする。
著者
鍛治谷 静 Shizuka Kajiya 四條畷学園短期大学保育学科 Shijonawate Gakuen Junior College
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 = Annual reports of Shijonawate Gakuen Junior College
巻号頁・発行日
vol.48, pp.25-29, 2015

保育や教育の場で不適応行動が見られるものの、診断がつかないあるいは未受診の子どもは「グレーゾーン」と呼ばれる。医療と連携が進み、診断を得ることで子どもの個別ニーズが関係者に広く知られるようになったが、同時に「診断を得ていないこと」がことさら問題視されるようになった面もある。2013年のDSM-5の改訂のうち発達障害に関わる部分を取り上げ、これらグレーゾーンと呼ばれる子ども達の支援と関連づけて考察した。支援に必要なのは「個別性を見る目」と「そこからニーズを読み取ること」であり、これは保育者や教育者の専門性である。診断は子どもを理解するためのひとつの情報に過ぎない。保育者や教育者が「分からないこと(診断;医療)」があったとしても、「分かっていること(自らの専門性)」を生かすことで支援は十分可能である。
著者
赤田 太郎 Taro Akada 四條畷学園短期大学 ライフデザイン総合学科 Shijonawate Gakuen Junior College
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 = Annual reports of Shijonawate Gakuen Junior College
巻号頁・発行日
vol.53, pp.57-64, 2020-12-25

本研究は、障がい学生支援の組織的枠組みがない小規模大学における課題や問題点を質問紙の調査によって明らかにし、小規模大学における障がい学生支援の現状と、研修実施による効果の検証と今後のあり方について検討した。その結果、相談場所がないと答えた人が42.9%にもおよび、相談場所のなさが浮き彫りとなった。また、相談場所のある教職員は、自身の周辺で相談を行っている現状だった。ICPを窓口機関として活用している職員がおり、これらを活用することが有効だと示唆された。支援の必要性に関する研修前後の変化としては、研修前は個人現状や学習支援、入学、生活などに関する必要性が多いが、研修後は大学組織や平等、権利や合理的配慮などの人権関連の項目が挙げられた。また困難さは、研修前は個人の障がい特性や学習支援配慮、時間などの個別対応が多かったが、研修後は教員や保護者、組織を生かした本質的な支援内容が挙げられた。組織的枠組みの意見については、研修前は個別の状況や目標、障がい支援の枠組みやサポート、授業や学習など、幅広いテーマが多いが、研修後は学園全体の単位で理解を広げ、窓口を置くことが大切、などが挙げられた。統計的にも今後の研修の必要性は優位に高まり(t=2.33,p<.05)、研修の有効性が証明された。これらの中で、大学の規模に関連する意見は見られなかったため、小規模による特殊な課題はなく、今後は規模にかかわらず学園全体としての組織的対応のシステム化が急務であることが示された。
著者
長谷 秀揮 Hideki Hase
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 = Annual reports of Shijonawate Gakuen Junior College (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.39-50, 2012

本稿の目的は、幼児の自信を幼児の内面に育むべき自己有能感ととらえ、保育を受ける幼児の自己有能感に着目し、それを育むことを大切にする保育の在り方について考察することである。そこで、保育園の5歳児クラスに入り参与観察を行い、実際の保育において子どもたちが自己有能感を育み、そして高め深めていくことが出来る保育者のかかわりと援助及び配慮についてその実際を把握。その中で特徴的なエピソードを収集し、また幼児の状況について聞き取り調査を実施した。さらに担任保育士2名に併せて半構造化面接調査を実施して分析及び考察を行った。結果、保育者の一人一人の幼児の状況に応じた意識的なかかわりと援助の重要性が明らかになった。また保育者のプラスのストロークは幼児にとって有効であり、幼児の自己有能感を高めることが明らかになった。そして5歳児クラスの大半の子どもが、それぞれ一層自信を深め主体的かつ意欲的に遊び生活する姿が見られた。This purpose of this paper is a consideration of the modalities of care which fosters it,focusing on children subjected to child care,self competence and self competence infant confident foster children inside of the infant.So,understanding that actually preschool and nursery scool 5 years old child class with participant observation in actual childcare children cultivate self competence,and deepening the increased can can's involvement and aid and consideration.Collect distinctive in that episode and also conducted interviews about the situation of children.Homeroom 2 nursery in conjunction with further conducted semi-structured interviews,surveys,analysis and discussion.As a result,revealed the importance of a conscious relationship with infant nursery individual situations and aid.Preschool plus stroke enabled by young children also became clear that enhance the self competence of young children. And each child class most confidence deep independent and ambitious even 5 years old,play live appearance was seen.
著者
伊東 めぐみ
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 = Annual reports of Shijonawate Gakuen Junior College
巻号頁・発行日
vol.50, pp.74-80, 2017-12-25

2025年(平成37年)は、第一次ベビーブームと呼ばれる1947年~1949年に生まれた「団塊の世代」の人すべてが75歳以上の後期高齢者に達する時期であり、要介護状態の高齢者が急増する時期であると見込まれている。その2025年を目途に、厚生労働省は「地域包括ケアシステム」を構築するべく推進している。本稿では、諸外国における地域包括ケアシステムの事例を紹介・比較し、日本の地域包括ケアシステム構築について考察を行った。その結果、各国に共通している点は、地域住民や、看護・介護の提供者・利用者等の「当事者」からさまざまな議論やプロジェクトが提起され、市民活動の中で組織づくりを行うといったような、下意上達に端を発している点であった。また、地域包括ケアを担う人材確保のために、共通基礎資格の創設に踏み切っている国もみられる。各国の差異を考えなげればならないが、高齢社会における看護・介護サービス需要の急増を支えるという根源的な課題は共通していることから、その動向は我が国に様々な示唆を与えると考えられる。
著者
曽和 信一
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 = Annual reports of Shijonawate Gakuen Junior College (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.43-54, 2009

本稿では、障害者自立支援法という名の"自立阻害法"を強いる「この国に生まれたる不幸」と「この病を受けたるの不幸」の"二重の社会的不幸"を繰り返さないために、現在どのようにすればよいのかが問われている。そのために、支援費制度から障害者自立支援法へと移行した現行の法制度を批判的に考察していくことにする。しかし、批判に留まれば障がい者問題の解決に向けての今後の新たな展望を切り開くことは困難であろう。その意味で、新たな法制度の確立に向けて取り組むものとして、DPI日本会議を中心としてその検討作業を進めている障害者差別禁止法(案)の問題について論及したところである。