- 著者
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伊東 敏行
- 出版者
- 日本農薬学会
- 雑誌
- Journal of pesticide science (ISSN:1348589X)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.1, pp.66-72, 2010
- 被引用文献数
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日本冷凍食品協会によれば、2008年の冷凍食品生産額は国内生産量約6600億円、海外輸入を合わせると約9000億円を超える規模となっている。2008年における日本の冷凍食品消費量は約250万トンであり、そして国民一人当たりの消費量は現在約19.4kgである。これが、現在の日本における冷凍食品の実態である。この中で、味の素冷凍食品株式会社(以下、当社)は、主な業務としてギョーザやシュウマイなどを代表とする冷凍食品の製造・販売を行っており、年間約1100億円の販売規模に達している。その生産拠点は国内9工場、海外8工場の合計17工場になる。一方、現在日本における食料自給率はカロリーベースで40%であり、そのため海外からの食料輸入に依存せざるを得ない状況にあることは周知のとおりである。冷凍食品においても図1のとおり、その輸入量(冷凍野菜輸入量+調理冷凍食品輸入量)は、約100万トンであり、われわれ冷凍食品を製造するメーカーにとっても国産のみならず海外に原料を求めまた製品生産を検討し、それに依存していかなければならない現状にある。その輸入食材は、検疫を通過後国内に流通するが、検疫では食品のリスクを想定し、残留農薬等色々な検査が行われているが、さらに国内のお客様から安心・安全の信頼を得るためには輸入食材の残留農薬に対する各企業の対応は避けて通れない状況にある。ここでは、当社における取り組みを中心に、中国冷凍野菜の製造行程における残留農薬に対する対応状況について紹介する。