著者
伊東 栄作 池谷 文夫 濃沼 圭一 江口 研太郎
出版者
農業技術研究機構九州沖縄農業研究センター
雑誌
九州沖縄農業研究センター報告 (ISSN:13469177)
巻号頁・発行日
no.43, pp.1-25, 2004-02
被引用文献数
1

サイレージ用トウモロコシの新品種「ゆめちから」は,耐倒伏性,高消化性,多収性およびごま葉枯病抵抗性を育種目標に「Mi29」を種子親とし,「Mi47」を花粉親として育成されたデント種×フリント種自殖系統間の単交雑一代雑種で,2000年8月に「とうもろこし農林交50号」として登録された。栽培適地の九州・四国・中国地域での熟期は早生に属し,絹糸抽出期は「DK623」より1日早く,「セシリア」より2日早い。稈長は「DK623」および「セシリア」より短く,着雌穂高は「DK623」より高く「セシリア」より低い。耐倒伏性は「DK623」および「セシリア」より有意に強く,既存の品種を上回る最強レベルである。ごま葉枯病抵抗性は「セシリア」より強く「DK623」並みの極強で,さび病抵抗性は「DK623」および「セシリア」より強い。乾物総収量は「DK623」並みで「セシリア」より低いが,茎葉TDN含量が「DK623」および「セシリア」より5~7ポイント高く,TDN収量は「DK623」および「セシリア」よりそれぞれ6ポイントおよび2ポイント高い。本品種は春播き栽培用であり,晩播・夏播き栽培に用いることはできない。最適栽植密度はアール当たり700~780本である。