著者
伊禮 寿記 木村 安貴
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.31-41, 2023 (Released:2023-02-03)
参考文献数
38

本研究の目的は,進行がん患者家族の代理意思決定における病棟看護師の支援とその困難経験頻度に関連する要因を明らかにすることである.4施設のがん看護を実践する病棟に勤務する看護師285名を対象に,無記名自記式質問紙調査を実施した.代理意思決定支援を「常に実施している」~「どちらともいえない」と回答した者は230名(80.7%)であり,話し合いの場に同席するなどの支援が実施されていた.また,よく困難を経験している者は41名(17.8%)であり,困難経験の関連要因についてロジスティック回帰分析で求めた結果「代理意思決定支援の実施頻度」(OR=2.41, P=0.009),「患者と家族等の関係性がわからない」(OR=1.50, P=0.025)などの4要因が抽出された.このことから,進行がん患者家族の代理意思決定支援を促進するためには,事前に患者と家族の関係性について情報を収集することが必要である.