著者
伊藤 ふみ子 田代 和子 Fumiko Itoh Kazuko Tashiro
雑誌
淑徳大学看護栄養学部紀要 = Journal of the School of Nursing and Nutrition Shukutoku University (ISSN:21876789)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.69-77, 2020-03-16

【目的】独居高齢者の社会的孤立に関する文献を概観することでその動向を明らかにし、独居高齢者に対する課題を検討する。【方法】CiNii Articlesを用い「高齢者」、「独居」、「社会的孤立」をキーワードに検索し得られた53文献のうち、会議録・報告書を除く21文献が検討対象となった。【結果】独居高齢者に関する研究は、社会福祉学が最も多く次いで看護学であった。その他、リハビリテーション学や情報学といった多様な分野での研究がみられたが、協働・連携して研究に取り組んでいるものは少なかった。研究内容は「社会的孤立・孤独死の実態とその要因の検討(15文献)」、「社会的孤立対策の取り組みの実態(3文献)」、「孤立死予防活動をしている民生委員の体験(1文献)」、「社会的孤立に至るプロセス(2文献)」の4分類に整理された。【考察】独居高齢者の支援には各々の分野が連携・協働して研究に取り組むことの重要性が示された。性差では男性の独居高齢者において、社会的孤立におかれている場合が多く性役割意識関係や仕事で培われたプライドが影響していることが推測された。今後の孤立予防対策として、退職前から地域社会での交流を促すような対策を講じる必要がある。