著者
伊藤 佐奈美
出版者
愛知教育大学大学院・静岡大学大学院教育学研究科共同教科開発学専攻(後期3年博士課程)
雑誌
教科開発学論集 (ISSN:21877327)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.13-22, 2017-03-31

本研究では, 特別支援学校における軽度知的障害生徒の学校適応及び職業教育の充実に資するため, 特別支援学校に在籍する軽度知的障害生徒を対象に, 進路先決定の状況や, 特別支援学校入学後の目標設定及び学校生活の満足度等について質問紙調査を実施した。調査から, 軽度知的障害生徒の多くが, 特別支援学校で学ぶことは将来の生活や進路に役立つであろうという理由から, 特別支援学校高等部への就学を選択し入学してきており, 学校生活上の目標設定においても就職することなど社会自立することを挙げることが多いことが分かった。また, 特別支援学級に在籍していた生徒が多い学年の満足度が高いことが分かった。さらに, 1年生では漠然と就職することや, 社会自立するという目標をもつことが多いが, 学年が進むにつれて, 生徒は自分自身の課題について認識するようになり, より具体的な目標設定を行うようになることが認められた。今回の調査で得られた知見をもとに, 今後さらに, 生徒の自己理解を深め, 学校生活さらには将来の社会生活への適応を高められるような指導を追求していくことが重要だと考えている。