著者
藤原 健史 伊藤 依理
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_41-I_48, 2012

自国に生産業を持たない太平洋の島嶼国では、天然資源を生かした観光業に力を入れている。旅行客の消費を賄うために食料品や生活用品を海外から大量に輸入し、さらに島民のライフスタイルが消費型に変わったことで輸入量が増えた。島内で消費された製品は廃棄されて島内に処分され、現在では環境汚染や景観悪化の原因となっている。国土が狭い島嶼国では最終処分場の確保が困難なため、島が持続的に発展してゆくためには、廃棄物の発生を抑制し、海外との連携を視野に入れた循環型社会を構築することが必要である。そのために、島の経済発展やライフスタイルの変化を考慮しつつ、廃棄物の量や質を将来に亘って把握することが不可欠である。本研究では、米国グアム準州を対象に、産業連関表を作成して現在の経済状況を把握するとともに、島民の人口増加や将来の観光客数、観光客の消費の変化を考慮したシナリオを作成し、経済波及効果を考慮しながら将来の家庭ごみ排出量を推計する。