著者
伊藤 祐紀子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.3_50-3_60, 2011-09-20 (Released:2011-10-25)
参考文献数
15

患者への気がかりをもとに看護していくプロセスを看護師の身体のあり様に着目して探究することを研究目的とした.修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより,看護師32名の半構成的面接データを分析した.結果として,36概念,8サブカテゴリー,5カテゴリーが生成された.看護師は,患者に抱いた気がかりをもとに【身体感覚からの察知】に【持ち前の判断と手立ての駆使】によって,患者に生じている変化を看護師の【内に取り込んでわかる】ようになる.ここから,2つのプロセスが生じていた.わかることで患者に馴染むことで【押し出される行為】に至るプロセスと,わかることから新たなわからなさが明らかになり,それを探索し続けるプロセスである.これらは同時に進行し,【関わりから得た手ごたえと方向性のリレー】によって帰結していた.この帰結は,次に関わる患者との相互作用の基軸になっていた.