著者
伊藤龍星
出版者
大分県海洋水産研究センター
雑誌
大分県海洋水産研究センター調査研究報告 = Bulletin of Oita Institute of Marine and Fisheries Science (ISSN:13430602)
巻号頁・発行日
no.3, pp.5-7, 2001-12
被引用文献数
1

1)1998年春季、大分県国東半島沿岸の天然ワカメが不漁であった。そこで、聞き取り調査や水温などの水質環境について検討し、原因を推定した。 2)聞き取りから、例年に比ベワカメ藻体の発生数、生長ともに不良であることがわかった。また、近隣県でも同様の状況にあることが確認された。 3)当該海域の水温は、平年より継続して高め傾向にあることがわかった。ワカメの分布南限域にあたる大分県沿岸では、この高水温傾向がワカメの生長不良を引き起こし、不漁につながったともの推定された。
著者
伊藤龍星
出版者
大分県海洋水産研究センター
雑誌
大分県海洋水産研究センター調査研究報告 = Bulletin of Oita Institute of Marine and Fisheries Science (ISSN:13430602)
巻号頁・発行日
no.2, pp.23-30, 1999-03
被引用文献数
2

1)1994年4月及び6月に大分県中津市地先において殻長5~6mmのアサリ人工種苗を放流し、逸散を防ぐためネットを被覆して約2年間にわたり育成した。 2)放流後夏季にかけて急激に成長し、放流後2ヵ月には殻長15mmを超え、中間育成目標サイズに達した。その後冬季の成長は緩慢となったが、翌春から再び成長し、約1年半後には殻長30mmに達した。 3)生残率はネット被覆の場合、中間育成目標サイズ達成時(殻長15mm以上、放流から2ヵ月後)には40%前後であったが、直放流の場合は3%程度であり、ネット被覆はアサリ種苗育成に有効な方法であることが推察された。 4)当漁場での適正放流サイズはネット目合い3.5mm1×5.Ommの場合、6~7mm以上と考えられたが、種苗のサイズや各漁場の砂質によって目合いを選定する必要があることが示唆された。 5)人工種苗は周囲の天然貝と同様の形態に成長し、成熟も確認されたことから、漁獲対象のみならず再生産にも寄与できることが判明した。