著者
佐々井 俊文 三橋 俊雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.59, 2012

本研究では、自立自存的な生き方とは何かを探求するに当たり、京都府北部の2地区において、民俗学的および道具学的な視点から聞き取り調査および行動の調査を行った。<br>宮津市の丹後由良地区では、調査対象者1名の生活技術や生活哲学が、自然の循環の中にあり、また物々交換に代表される人との関わりの中にあることが明らかとなった。そのことは特に消し炭の利用に明確に表れており、自立自存的な生き方の特徴的な生活技術の事例の1つを示唆していると考えられる。<br>福知山市雲原地区では、兼業で猟を行っている2名の対象者が、猟を通じた道具の加工技術や、害獣と対峙しながら生活していくための、幅広い知識と技術を持っていることが明らかとなった。<br>こうした対象者らの日常の生活や生活技術は、自然の中で自立自存的な生き方を実現するための、重要な知見であると考えられる。<br>