著者
林田 和之 堀 耕太 寺住 恵子 佐々木 妙子 原口 英里奈
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
pp.35.3_11, (Released:2021-07-06)
参考文献数
16

【目的】消防職員に対してBleeding Control (以下B-Con) 教育の有効性を検討する. 【方法】professional first responder (専門的ファーストレスポンダー) となる消防学校救急科の学生80名に対し, 米国で行われているimmediate responders対象のStop the Bleed (以下STB) コースを行った. 受講前後の意識変化 (10段階自己評価形式 : リッカート尺度) を評価し, その結果で消防職員へのB-Con教育の有効性を検討した. 【結果】受講前後で比較すると, 技術・知識・教育のすべての項目で有意に上昇した. とくに他者指導の自信も有意に上昇した. 【結語】定期的な技能維持は必要ではあるものの, 消防職員に対しSTBコースによるB-Con教育は有効であり, 外傷初期診療体制におけるファーストレスポンダー教育を確実に行うために, 消防職員への教育を強化すべきである.
著者
佐々木 妙子 亀山 哲章 冨田 眞人 三橋 宏章 松本 伸明 大渕 徹 吉川 祐輔
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.1227-1230, 2012-11-30 (Released:2013-03-08)
参考文献数
9

鼠径部ヘルニアは比較的頻度の高い良性疾患だが,嵌頓し絞扼すると生命に関わることがある。今回当院で手術を施行した鼠径部ヘルニア嵌頓例を検討し,嵌頓例への対応を考察したので報告する。2007年1月から2011年6月までの当院で手術を施行した鼠径部ヘルニアは586例であり,このうち嵌頓例は37例(6.3%)であった。診断内訳は外鼠径ヘルニア23例(62.2%),内鼠径ヘルニア2例(5.4%),大腿ヘルニア11例(29.7%),不明1例(2.7%)であった。緊急手術を要した例は31例(83.8%)で,このうち臓器切除を要した例は11例(35.5%)で,腸管切除が7例,大網切除が4例であった。嵌頓例37例のなかで自覚症状発現から来院まで1日以上経過している例が17例(46.0%)存在した。医療者は急性腹症の原因にヘルニア嵌頓がないかを確認すること,また嵌頓時には速やかに受診するように啓蒙していく必要がある。