著者
須見 洋行 佐々木 智広 矢田貝 智恵子 小崎 泰宣
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.74, no.11, pp.1259-1264, 2000-11-01 (Released:2008-11-21)
参考文献数
17
被引用文献数
6 7

納豆の水抽出熱処理物中には線溶酵素に対する強い賦活物質(FAS)が存在し,それをトリプシンーフィブリン平板を用いて測定することができた.この簡易法で市販7社の納豆100g (湿重量)中には平均7.41±5.45万単位(サーファクチンμg換算) (平均±標準偏差)という非常に高い活性が検出された. FASはプラスミン,トリプシン,あるいはミミズ酵素のような直接のフィブリン分解酵素だけでなく,ウロキナーゼのようなプラスミノーゲンアクチベーター,あるいはナットウキナーゼなどのプロ-ウロキナーゼアクチベーターに対しても強力な賦活効果を示すことがわかった.本物質は納豆抽出液から酸処理(pH 2.0沈殿)およびエタノール処理(可溶分画)の組み合わせで容易に分離でき, 1kgの納豆からの収率は約81.7万単位(乾燥品4.6g),純度は177.6単位/mg (乾燥重量)であった.