著者
佐々木 直文 佐藤 直樹
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.279, 2010

特定の種における複数の環境型を同時に解析することにより、これらのゲノムで共通な仮想的なゲノムの構造を知ることができる。これらのゲノムは、「ゲノムコア」と呼ばれるゲノム間で共通に保存されているシンテニー・ブロックと、HGTによる遺伝子の出入りが確認される、「ゲノムアイランド」領域のモザイク構造になっていることが知られているが、従来の遺伝子の隣接関係に基づく組み合わせ探索の方法では、非常に近縁であるこれらのゲノム間において、ゲノムアイランド領域とゲノムコアのゲノム上での再構成単位を同時に可視化することは難しかった。我々はこれらを可視化することが可能な「位置プロファイル法」を開発した。前回の報告では我々の開発した位置プロファイル法による、シアノバクテリア16種間の解析結果を報告した。本発表では、本手法の近縁ゲノム間の解析への活用事例として、拡張したデータセットによる手法の評価と既存法との比較、およびシアノバクテリア36種での解析と根粒形成菌の近縁種間の解析によって明らかになった、近縁ゲノム間のゲノムの構造的進化とその働きについて報告する。
著者
佐々木 直文 佐藤 直樹
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.59, 2009

近縁種ゲノムを比較するとゲノムが構造的に安定的な領域(core domain)と流動的な領域(flexible domain)が見いだされる。このうち流動的な領域はゲノムの安定的な構造の間にパッチ状に存在しており、遺伝子の水平移動(HGT)に関連した遺伝子が存在していることが知られている。一方、安定的な領域は遺伝子の並びが比較的保存され、機能的、構造的にゲノムのコアになっていることから、ゲノム再編成の解析に有効であると考えられる。本研究では、進化的に近縁である海洋性シアノバクテリア14種についてゲノム比較を行い、ゲノムの安定的な領域における遺伝子間の距離関係の情報を解析した。その結果、これらの安定的な領域が7つの仮想的な連鎖グループ(VLG)から構成されていることが明らかになった。さらに、これらのVLG間の位置関係を解析した結果、それぞれのVLGが複製開始領域(ori)を基準として決まった位置関係を持っていることが分かった。これらの結果は、ゲノムコア領域がゲノム再編成の情報を持っていることを示唆している。