著者
近藤 知 掛川 一幸 佐々木 義典
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.7, pp.753-758, 1990-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13
被引用文献数
4

チタン,ジルコニウム,鉛の混合硝酸塩溶液の凍結乾燥によりPb(Zr, Ti)03(PZT)を合成した(全凍結乾燥法)。またチタン,ジルコニウムの混合硝酸塩溶液の凍結乾燥生成物を熱分解したものとPbOとの固体間反応によってもPZTを合成した(組み合わせ法)。これらの合成法,および一般に行われている固相法について反応性,均一性などを比較検討した。ゑ全凍結乾燥法により得られた粉体の反応牲は最も良好で中間生成物なしにPZTが生じ,約600℃ で単一相のPZTが得られた。組み合わせ法でも中間生成物は生じず,単一相のPZTは900℃ で得られた。固相法では中間生成物としてPbTiO3が生じ,単一相のPZTが得られる温度は1000℃ であった。固相法により合成されたPZTには大きな組成変動(組成不均一性)が認められた。全凍結乾燥法と組み合わせ法により合成されたPZTの組成変動は検出精度内では認められなかった。誘電率の温度特性を調べた結果,全凍結乾燥法および組み合わせ法を用いて得られたPZTの誘電率の最大値はともに,乾式法によるPZTの2倍程度の値をもっていた。