著者
佐々木 諒平
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.14-17, 2010 (Released:2010-03-12)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究は,健常成人12名(男女各6名)を対象に,足趾機能がバランス能力に与える影響について,足趾把持力と重心動揺を測定し,検討したものである。結果,足趾把持力について,男女間での差および左右での差は認められなかった。足趾把持力と重心動揺との関係については,男性において足趾把持力と総軌跡長とは負の相関関係,足趾把持力と単位面積軌跡長とは正の相関関係が認められ,統計学的な有意差も認められた。逆に,女性では必ずしも男性と同様の結果は認められなかった。これらのことから,男性において足趾把持力はバランス能力を規定する上で有利に働いていると思われ,バランス能力向上のための運動療法において足趾把持力の強化が有効であることが推察された。また,女性においては男性と同様な結果は得られず,また男女間に足趾把持力の有意差が認められなかったにも関わらず,男性のみ足趾把持力と重心動揺とに有意な相関が認められたことから,男女のバランス戦略が異なる可能性が示唆された。