著者
佐々木 豪
出版者
日本臨床皮膚科医会
雑誌
日本臨床皮膚科医会雑誌 (ISSN:13497758)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.417-423, 2020 (Released:2020-09-30)
参考文献数
12

当院を受診中の慢性特発性蕁麻疹患者で,既存の第2世代抗ヒスタミン薬効果不十分 [重症度レベル3以上かつ蕁麻疹活動性スコア(Urticaria Activity Score:UAS)3以上]であった50例について,ビラスチン(ビラノアⓇ)への切り替えによる臨床的検討を行った.UASはビラスチン切り替え後2週間で有意な低下が認められ,その低下は8週後まで継続した.さらに前治療の薬剤が,ピペリジン/ピペラジン系および三環系のいずれであっても,ビラスチンへの切り替え後2週間で有意なスコアの低下が認められた.薬剤別に解析すると,フェキソフェナジン,オロパタジン,レボセチリジン,ベポタスチン,ロラタジンからビラスチンへ切り替えた場合のUASの低下は2週以降も継続したが,エピナスチンからの切り替えによるUASの低下は2週以降継続しなかった.以上の後方視的検討から,ビラスチンはほとんどの第2世代抗ヒスタミン薬からの切り替えで有効であることが示唆されたが,薬剤別のさらなる検討が求められる.