- 著者
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小寺 淳
佐々木 隆史
大森 謙司
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬理学会
- 雑誌
- 日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
- 巻号頁・発行日
- vol.126, no.2, pp.121-127, 2005 (Released:2005-10-01)
- 参考文献数
- 42
- 被引用文献数
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6
環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(cyclic nucleotide phosphodiestease,以下PDEと略す)は,細胞内セカンドメッセンジャーである環状ヌクレオチド(cAMPおよびcGMP)を分解し,そのシグナル伝達を調節している.哺乳類ではPDEは11種類のファミリーを形成しており,その阻害薬は様々な疾病の治療に使用されている.カフェインやテオフィリンなどは100年以上も前に発見された非選択的なPDE阻害薬であり,現在でも医薬品として用いられている.この約20年間にPDEの体系的解析が進み,PDE5阻害薬やPDE3阻害薬などPDEファミリー選択的な阻害薬が開発された.これらの阻害薬はそれぞれ男性性機能障害や急性心不全などの治療薬として使用されている.またPDE4阻害薬は慢性閉塞性肺疾患や喘息の治療薬として開発され,海外では現在新薬承認申請中である.一方,遺伝子工学的アプローチにより見出されたPDE(PDE7~11)は,特異的な組織局在あるいは発現レベルが比較的低いといった理由から発見が遅れた.しかし,ユニークな組織局在のゆえに魅力的な創薬ターゲットになる可能性が期待され,各製薬会社や大学においてノックアウトマウスの解析や選択的阻害薬の研究が進められている.