著者
香川 靖雄 西村 薫子 佐東 準子 所沢 和代 村上 郁子 岩田 弘 太田 抜徳 工藤 快訓 武藤 信治 手塚 統夫
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.283-294, 1980-11-25 (Released:2010-10-29)
参考文献数
36
被引用文献数
9 6

朝食の欠食は日周リズムを変え, これによって肥満, 高コレステロール血を増加させ, 各種の知的機能テストの成績を低下させると報告されている。そこで寮内学生 (19~21歳) につき分析を行い下記の成績を得た。1978 (人数=102) 1979 (人数=106)朝食 欠食者(85名) 摂取者(17名) P 欠食者(64名) 摂取者(42名) P〔摂取量/日〕エネルギー (kcal) 1,916 2,180 <0.1 2,105 2,459 <0.01たん白質 (g) 63.1 66.4 <n.s. 67.0 80.8 <0.01炭水化物 (g) 283.6 345.1 <0.01 295.4 352.2 <0.001カルシウム (mg) 296.4 408.8 <0.02 409.4 499.0 <0.02〔24時間尿中成分〕尿素 (g) 7.05 6.58 <0.5 7.49 8.43 <0.5カルシウム (mg) - - - 410.8 497.3 <0.05〔血清〕コレステロール (mg/dl) 190.8 186.4 n.s. 188.5 191.4 n.s.〔学業〕全学科成績 71.51 75.74 <0.01 72.97 75.29 <0.02平均得点順位 58.1 35.9 <0.01 59.4 44.1 <0.02年間欠席時限数 87.3 53.7 <0.05 89.2 63.4 <0.05コレステロール値は米国青年の値よりわずかに高い。身長 (169.9対170.7cm), 体重 (61.6対63.0kg), HDL-コレステロール (52.5対53.5mg/dl), トリグリセリド (116.8対123.7mg/dl), カウプ指数 (2.147対2.181), 出身地南北差等には上記両群の差はなかった。朝食の欠食は上記の表の栄養素摂取量を低下させたが, 食事の欧風化にも拘らず, 肥満やコレステロールを増加させなかった。また欠食者に学業成績, 出席率の不良なものが多く見出された。