著者
佐藤 万亀子
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.77-107, 2005-03

経済の混迷する現在、職場の労務管理は、家族的温情主義から、個人と組織の欲求を統一した人的資源管理への移行が時代の趨勢となり、キャリアカウンセリングの台頭を見ることになった。職場カウンセリングの来談に動機づけられない日本人の意識構造をカバーするために、スクリーニングとして「労働意識調査」を介した回答結果によって、自己の意識を客観的に見てもらう体験を通して、来談のための内発的な動機づけを高めると考えられた。呼び出しに応じて来談したクライエントは、面接場面で、象徴的な自己を吐露する現象が見られた。これらのクライエントの抱える問題の内容は、多種多様で、かつ深刻であった。問題がさらに重大にならない前の早い時期に、もし、パーソンセンタードのカウンセリングによって、認知変容ができれば、クライエントの人生の真の意味を気づかせるばかりか、さらに精神的健康の増進にもつながると考えられる。さらに医療費の軽減をもたらすことが期待でき、今後の医療政策へも、一つの示唆を与えることが出来ると考えられる。