著者
鞍貫 心美 佐藤 夏妃
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第76回日本人類学会大会・第38回日本霊長類学会大会連合大会
巻号頁・発行日
pp.84, 2022 (Released:2022-10-07)

2つの食品を組み合わせて味が変化する現象はさまざまなものが知られている。その中で、お餅を食べた後にアクエリアスを飲むと、灰汁っぽい苦みが残るという話を聞き、味覚のひとつである苦味について興味を持ったためこのテーマの研究に着手した。私たちはお餅に苦味を生じさせる原因があると考え、2つの仮説を立てた。その後、それぞれの仮説に基づいた実験を行った。1つ目はお餅の粘り気が舌の甘味受容体を塞ぐと考え、実験1を行った。実験1は、粘り気のある食べ物を口に含んだ後に、アクエリアスを飲み、味の変化を確かめた。2つ目は、お餅の成分であるアミロペクチンがアクエリアスの甘味を抑えるはたらきをすると考え、実験2を行った。実験2は、アミロペクチンを口に含んだ後に、アクエリアスまたはアクエリアスに含まれている苦味成分や甘味成分を組み合わせて作成した溶液を飲み、味の変化を調べた。実験1では、アクエリアスの甘味が減じ、苦味がより強く感じたという結果を得た。実験2も同様に、アクエリアスの甘味を感じなくなった。もしくは、苦味を感じるという結果を得た。結果よりお餅の粘り気や成分であるアミロペクチンが、アクエリアスの甘味を抑えるはたらきをする可能性が考えられる。そのため、お餅を食べた後にアクエリアスを飲むと苦味を感じる原因は粘り気のみか、アミロペクチンのみか、もしくは両者による増幅効果だと考えられる。