著者
平瀨 敏志 竹尾 直子 中村 政志 佐藤 奈由 松永 佳世子 谷口 裕章 太田 國隆
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.48-52, 2020 (Released:2020-02-12)
参考文献数
13

【背景】コチニール色素は赤色着色を目的に食品添加物として様々な食品に用いられている.一方で即時型アレルギーの原因物質として報告されているが,多くが成人女性発症である.今回,8歳男児にコチニールアレルギーを発症した症例を経験したので報告する.【現病歴・経過】幼少期よりアトピー性皮膚炎・気管支喘息・食物アレルギーがあった.7歳頃より2回原因不明のアナフィラキシーを起こしエピペンⓇを処方されている.8歳時に低アレルゲンコチニール入りのフランクフルトを初めて食べて冷汗・口腔内違和感・呼吸苦・全身に蕁麻疹が出現した.プリックテストではフランクフルトとコチニール色素(色価0.1・0.01)で2+と陽性,Immunoblotではコチニールの主要コンポーネントであるCC38Kに相当する分子量のタンパク質と約80~200kDaの高分子量領域のタンパク質でIgE抗体の結合を認めた.【考察】学童期男児に発症,低アレルゲンコチニールでアナフィラキシーを起こしたという意味で興味深い症例と考え報告した.