著者
佐藤 尊文 森本 真理 伊藤 桂一 野々村 和晃
出版者
秋田工業高等専門学校
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、(1)カメラで数式を読み取り3次元グラフを表示するソフトの開発、(2)空間図形認識能力を評価するような指標の構築、(3)3次元グラフに関連する授業コンテンツの開発と社会への発信、という3つの内容からなる。3次元グラフの板書は難しく、導入時の授業で図形をイメージすることができずに、苦手意識のまま克服できない学生が多い。3次元グラフ表示ソフトはいろいろあるが、それぞれ数式の入力方法が異なり、授業などに導入する際には、使い方の説明に多くの時間が取られる。本研究は、(1)~(3)によって、空間図形に対する学生の苦手意識を減らし、能動的学修を推進する教育コンテンツの研究開発を目的とするものである。(1)について、平成29年度は、前年度に引き続きWindowsをOSとする端末でのソフト開発を進めた。カメラで撮った画像からの数式抽出、取得した数式が表すグラフのAR(拡張現実感)技術による特定のマーカ―への表示、タップやドラッグでグラフをいろいろと変化させる機能などについて、改良作業を行なった。また、カメラで読取ができない場合に対応し、手書き入力機能の開発を行ない、十分な精度で手書き入力ができるようになった。(2)について、平成29年度は、前年度に構築した評価指標に基づくCBT(Computer-Based Testing)を作成し、(1)のソフトを未利用の学生に対してこのCBTを実施し、指標の再検討を行った。(3)について、平成29年度は、高専シンポジウムにおいて(1)のソフトのデモを行い、実際に使ってもらって好評を得た。最終年度には、(1)のソフトを用いた授業設計シートの作成およびe-learningなどの自主学習のために利用できるコンテンツの開発を予定している。