著者
佐藤 清左衛門
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.298-304, 1960-08-25

1. ヨーロツパアカマツとヨーロツパトウヒの稚苗で1月30日から11月24日まで約10ヵ月間肥料3要素と長日処理の効果を検討した。2. 3要素試験は佐藤・武藤氏培養液で砂耕法によつて試験し, 長日処理は1月30日から4月8日まで室内で昼間補光を含めて約18時間処理し, 5月21日からはガラス室で自然日長より5時間日照時間を延長する方法をとつた。3. 3要素試験の結果, 窒素, 燐酸の欠亡は生育に悪影響を及ぼし, 無肥料とほとんど変りがなかつたが, 加里欠亡の影響はほとんど認められなかつた。そして要素欠亡の影響はヨーロツパアカマツで強く現われ, 窒素, 燐酸欠亡区の重量は, 完全区, 加里欠亡区の約1/7(自然日長区)〜1/10(長日区)であり, ヨーロツパトウヒの場合はそれほど強くなく, 約2/3(自然日長区)〜4/9(長日区)であつた。4. ヨーロツパアカマツ, ヨーロツパトウヒともに自然日長区の加里欠亡区が完全栄養区より重量の上回つている原因はよくわからない。5. 長日処理すれば両樹種とも完全栄養区の生長は促進するが他の要素欠亡区はほとんど促進しなかつた。促進効果はヨーロツパアカマツよりもヨーロツパトウヒの場合に著しく, アカマツの場合は茎の生長を73%促進し, トウヒでは茎を160%促進し, とくに根の生長を213%促進したのは注目される。6. 長日の効果に強く影響する肥料要素は窒素と加里で, 燐酸はややすくないようである。