著者
佐藤 良泰
出版者
一般社団法人 日本ゴム協会
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.101-108, 1985 (Released:2008-04-16)
参考文献数
5
被引用文献数
1

粒子状分散しているポリマーブレンドやブロック共重合体や粒子配合ポリマーなどの不均質物体を力学的に解析する目的で, 不均質物体内で局部的に激しく変化している“内部変形”に基づいて, 粒子の界面に層ができ空隙ができうる場合の構成方程式や弾性率を導いた. 理論の結果を用いれば, 分散媒質と層と粒子の三者の剛性率, 粒子の体積分率や層の厚さ, 及び外部変形などの大小関係により, 弾性率や応力-変形関係に複雑多様に現れる多彩なプラスあるいはマイナスの補強効果が展望的に予測できる. 特に層の硬軟が応力や弾性率の補強性に及ぼす影響は粒子の硬軟の影響よりはるかに大きく, 層が硬くなければ粒子をどのように硬くしても補強効果は大きくはならないなど, いろいろな知見がえられる. 層の剛性率を0にすれば, 層は力や変形を粒子に伝達せず, 粒子は全く変形しない. つまり層は空隙として機能する.