著者
佐藤 芳行
出版者
新潟大学経済学会
雑誌
新潟大学経済論集 (ISSN:02861569)
巻号頁・発行日
no.90, pp.115-150, 2011-03

ロシアでは1992年の「改革」の実施とともに所得分配をめぐる紛争からハイパー・インフレーションが生じ,それと関連しながら様々な調整が進行した。マネタリズムの政策志向は,通貨不足をもたらしつつ,賃金と利潤,エネルギー資源部門とその他の部門との間の所得分配に大きな影響を与えた。1998年の通貨危機後の政策転換は,資源価格の高騰とともに大きな変化をもたらしたが,「オランダ病」の症候が依然としてロシアに特徴的でありつづけている。