著者
佐藤 雄幸 進藤 勇人 小林 ひとみ
出版者
秋田県農業試験場
雑誌
秋田県農業試験場研究報告 (ISSN:0568739X)
巻号頁・発行日
no.46, pp.59-71, 2006-03

台風15号による潮風害が、男鹿半島以南の沿岸部の水稲・大豆等において発生した。潮風害の発生は、南南西から南西風の吹走と、台風通過時から通過後の少雨が主因であった。実態調査を実施した結果、潮風は内陸部20km地点まで影響を及ぼし、水稲では穂や枝梗の白化や止葉損傷、大豆では葉身の損傷、落莢が生じた。水稲では、大幅な減収と着色・充実不足等による1等米比率が低下した。大豆では、百粒重が小さく、収量が大幅に低下した。台風の来襲時期が8月で、水稲では登熟前~中期、大豆では開花期~子実肥大期と重なったことが被害を拡大したと推察された。次年度の営農には、被害わらの影響はみられず、実収穫の大豆がある場合は保有窒素に基づいた対策を講じる。水稲の登熟は低下し千籾重は低下するが、1.9mm以上の粒厚で調整することで発芽率は90%で、種子として利用可能であった。