著者
佐藤 顕広 古屋 聖兒
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.142-150, 2023 (Released:2023-02-20)
参考文献数
8

【目的】表計算ソフトを用いてCT(computed tomography)検査における照射線量管理ツールを作成し,実用化への可能性を検証する.【方法】2020年4月から2022年4月までの期間において,当院で実施したCT検査2,128人のうち,体重が50–70 kgの患者1,212人を対象にデータを解析した.データは,CT装置から出力される操作卓画面情報を利用した.データの入力は手動で行った.照射線量の評価は,Japan DRLs 2020(National Diagnostic Reference Levels in Japan 2020)を参考に,箱ひげ図や散布図を用いて行った.【結果】Japan DRLs 2020と比較して,当院における照射線量が高すぎたり低すぎたりすることはなかった.また,外れ値として照射線量の検証を行った件数が7例存在したが,そのうち,データの入力ミスが3例であった.したがって,その他4例について外れ値となった原因を追求した.【結語】本ツールを利用することで,CTDIvolとDLPの分析をすることができたと考える.更に,外れ値として原因追求を行った4例については,放射線診療の正当性と最適化の概念を逸脱するものではなかった.